同じ美術部に所属する一年生五人は、大の怪談好き。
 その日もいつもと同じように怪談を語り、同じように部活時間を終えた……筈だったが。
 なんと彼女らの怪談の影響で封印が解かれ、本物の妖怪が現れた!?
 現れた妖怪・理の調停者火遠かのんに促されるまま、美術部員の乙瓜いつか魔鬼まきは開いた大霊道を封印するため怪事を解決しなくてはならないことになり――?

 大霊道の封印を解いてしまった責任を取ることになった乙瓜は、美術室の前で見えない来訪者に遭遇する。
「兄さんに会いに来たんだ」と、火遠の弟を語るそれを第一の怪事認定した火遠は、乙瓜にそれを倒すように促す。
 しかし激昂した弟=水祢みずねの策にはまり、美術部員全員が異空間に閉じ込められてしまい……?
 はじめての戦闘、それなりにピンチ。

 水祢の紹介で学校妖怪の花形・花子さんに顔合わせに行った乙瓜は、試練として花子さんが学校のどこかに隠した鏡を翌日中、最終下校までに探すように言われる。
 なんてことない試練だと思っていたら、大量の贋物に加え花子さん一派の学校妖怪たちに酷い妨害にあい……。
 筋肉痛な上に折角増やした札をへんにょりとしか投げられない乙瓜、どうなる!?

 雨の続く六月。乙瓜と魔鬼は花子さんに「お願い」をされる。
 学校妖怪を襲っているという噂の立ったてけてけを見つけ、噂の真偽を確かめてほしいと言う彼女の願いを引き受けた二人は、てけてけを見つけ出すが……。
 三人目の××の登場に、二人は!?

 夜中に誰もいない筈の音楽室から歌声とピアノの音が聴こえる。
 そんな噂を聞いて音楽室にやってきた美術部の前に現れたのは、火遠に瓜二つの最後のきょうだい・嶽木。
 夜の音楽会を邪魔されては困る嶽木は、美術部に歌で勝負を挑む。
 与えられた練習期間は一週間。少しでも嶽木がいいと思ったら美術部の勝ち。

……でも、肝心の美術部勢の乙瓜さん、音痴なんです。

 夏休み、はじめての学年合宿で曰くつきの青年館にやってきた乙瓜たち。
 クラス混合の部屋割りで偶然にも同じ部屋になった乙瓜、魔鬼、杏虎、眞虚の四人は、同室の同級生たちに促されるままに怪を談し始める。
「ただし、何が起こっても自己責任ね」
 消灯時刻を越えた真っ暗な室内、携帯の薄明かりにぼんやりと浮かび上がるおぼろげな輪郭。
 いつからかヒトに混じって語り始めるのは、だあれ。

 この頃何故か行ってもいない場所で見かけたと言われることが多くなった乙瓜。
 不可解な現象に首をかしげる中、乙瓜の前に自分と瓜二つで、姉と名乗る少女・七瓜が現れる。
 自分に姉などいない筈。七日の存在を真っ向否定する乙瓜だったが、七瓜の術中に嵌り、妖界に囚われてしまう。

 長らく留守にしていた花子さんのライバル妖怪『闇子さん』。
 北中に帰ってきた闇子は、「トイレの花子さん」の称号を奪還すべく花子さんに果たし状を突きつける。
 しかしめんどくさがりな花子さんは、代理として乙瓜と魔鬼の二人に闇子と戦うことを命じた。

 【三日月】の遣い・魅玄の作り出した鏡の世界に閉じ込められた乙瓜が見たのは、草萼火遠の過去の片鱗。
 十年前の生徒会長と副会長の二人に対峙する昔の火遠、そして火遠が葬り去った副会長。
 「この妖怪は人間をも殺す。そんな奴を信用できるかい?」
 ゆさぶりをかけて契約の解除を迫る魅玄に、乙瓜は。

 乙瓜と魔鬼の二人が、今日も今日とて花子さんにお願いされたのは「放課後に暴れだす被服室の人形たちを黙らせる」こと。
 しかし被服室の人形たちは何度倒しても復活し、とてもじゃないがキリがない。更にその裏に新たな【三日月】の使者が潜んでいることが判明。
 疲れ果てた二人の前に現れた助っ人は、なんと――?

 全校参加の町内マラソン大会が近づき、何かにつけて校庭を走らされることが多くなった頃。
 美術部のもとに飛び込んできた噂は、「校庭を走っていると自分の後ろにぴったりついてくる何者かが現れる」というものだった。
 「「それ」に追い抜かれなかった者は、大会中に不幸が訪れる」
 嘘か真か加速する噂、追い抜かれなかった遊嬉、いよいよ迎えた大会当日。
 衆人環視の大会で、一体何が起こるというのか。

 古霊町が雪国張りの吹雪に見舞われたその日、迎えも呼べずに学校に留まっていると、閉めきったはずの正面玄関の扉が開いていた。
 そして、校内では次々と不審な現象が起こり始める。
「怪事だよ、これは」
 そう断定する火遠の一言から元凶を探し出した乙瓜と魔鬼は、氷漬けになった校内で雪の妖怪に出会う。

 美術室の掃除をしていた眞虚は、火遠が封印されていた小戸の中に香炉を発見する。
 中に残っていた香の何とも言えない良い香りに美術部員がうっとりしていると、理科室の標本やホルマリン漬けが次々と息を吹き返しはじめ、校内は騒然となる。
「反魂香は本来はそういう効果のものじゃないんだけど、経年で妙なことになってるねえ」
 呑気に呟く火遠だったが、実は反魂香が広域蘇生の効果を持ったのにはとある思惑があった…

「実はさ、話しておかなくちゃならないことがあるんだよね」
 三年の卒業式を控えた三月。鳩貝秋刳からそう切り出された一年たちは、大霊道の封印に関する衝撃の事実を知ることとなる。

 卒業式も過ぎ去ったある日、美術部のもとに一人の妖怪が訪ねてくる。
 火遠の旧い友人であり、自らを妖怪史の記述者と称する妖怪・慈乃は、美術部から一年間の怪事を聞き出して記すという。
 今までの出来事をぽつぽつと思い出していく中、もう一つの怪事が動き出していた。