STORY
第一談 「非常日常トロイメライ」
二年生に進級しても相変わらずオカルトオカルトしい生活を続けていた乙瓜と魔鬼。そんな最中、一年の部活見学期間最終日。魔鬼は美術室前廊下で一人の一年生と出会う。
「追われているんです、助けて下さい!」
そんな電波な事を吐く一年、古虎渓明菜。
きっと彼女は探していた。
第二談 「小鳥の呪い、願いの札」
ゴールデンウィークを間近に控えた4月末日。両親の都合がつかず、一人遠方の親類の結婚式に赴くことになった眞虚は、暇そうにしていた水祢を連れていく。
「きっとお前は呪われている」
披露宴の途中で抜け出した眞虚に水祢が伝えた言葉。
小鳥眞虚は捜していた。
第三談 「雨月張弓」
杏虎はここの所ずっと繰り返し同じ夢を見ていた。青白く輝く不思議な光の夢を。そんな最中、北中でに何者かが侵入しているという話になり、美術部は奔走する事に。
相次ぐ"キメラ"の目撃譚と、美術部を嗅ぎまわる謎の存在。
目的も正体も知れないそれを追いながら、白薙杏虎は探していた。
第四談 「現代奇談ナイトメア」
五月末日、都市伝説・ひきこさんの目撃談とそれが原因と思しき被害が小学生の間で広がり始める。とりあえず夜道を手分けして見回ることにした美術部だったが、魔鬼が遭遇したのはひきこさんではなく、口裂け女――?
口裂け女は探していた。
第五談 「壺とお札と壊れた家」
一年生の雛崎燿子は、やたらと美術部につっかかる。「おまえ等なんかはペテン師だ」
そう言う彼女には、誰にも相談できない秘密の事情があって――。
雛崎燿子は探していた。
第六談 「古井戸の夢」
サッカー部員たちが古城跡の廃神社にある古井戸に悪戯をした次の晩から、古井戸の夢を見る者が相次いだ。夢を見た本人から直接夢の内容を聞いた者も同じ夢を見、古井戸の夢は次々と伝染していった。
やがて最初に夢を見たものが相次いで事故や不幸に見舞われるようになったのをきっかけに、美術部は独自に行動を開始する。
一方で、古城の古井戸に心当たりのあるたろさんは――。
たろさんは探していた。
第七談 「百鬼夜行スクランブル」
オカルト系サイトに取り上げられたらことから、マニアの注目を浴びるようになった古霊町。町に客人が沢山押し寄せ、長閑な田舎町の空気が一変した。
マナーの悪い観光客が史跡や塚を荒らし、更に学校にまで侵入たりして問題を起こす中、
妖怪たちは観光客の欲望を満たしつつ追い出す作戦を考える。
美術部黙認のもと決行されたその作戦とは――。
第八談 「私とあなたと祭囃子」
夜都尾稲荷の夏祭当日。火遠を待っていた乙瓜は七瓜と遭遇する。提灯の朧気な光、お囃子の音色と賑やかな人々の声。共に待ち人を待ちながら屋台を回るうちに、思い出していく昔日の光景。
いつか昔の祭囃子。あの日食べたかき氷の色。確かに覚えているそれは果たして、それとも全てが幻なのか。
烏貝乙瓜は探していた。
第九談 「盛暑青海サマーデイ」
祭も過ぎ去り、本格的な夏休みが到来したその日。遊嬉の親戚・珠美が経営している海辺の民宿へバイトがてら海に遊びに行くことになった美術部二年たちは、なんだか夏を満喫していた。
偶々民宿に泊まっていた狩口と鉢合わせたり、割と真面目にバイトしたりする中、美術部はこの近辺で語られる海の怪談を知る。
――月のない夜、或いは月の遅い夜に暗い海辺を一人とぼとぼと歩いていると、海から呼ばれる。
そんな怪談にまつわる真っ黒な夜の中、珠美はふらりと失踪してしまう。
陸野上珠美はさがしていた。
第十談 「憑呪四辻デイドリーム」
夏部活の最中、相談箱に届いた『お便り』は「躯売詩弦の様子を見てきて欲しい」という変わった内容だった。件の投書をした荒寺綾刃によると、彼女の友人・詩弦とはもう一週間も、携帯が繋がらず、自宅電話も取り次いでもらえないという。
直接訪問もしたのだが、門前払いを食らってしまって結局会うことができなかったようだ。
「どうにかして、お願い」
依頼に応じた眞虚と彼女についてきた水祢は、四辻通りで犬のような何かに襲われ――。
躯売詩弦はさがしていた。
第十一談「幻想暴走フェスティバル」
去年の裏生徒音楽祭の反響を踏まえ、花子さんは新たな催し物を考えていた。「表生徒も裏生徒も楽しく面白く」
そのお題目の下、花子さん率いる北中裏生徒軍団が体育祭に乱入する。
まさかの味方サイドからのヘビー級怪事を鎮圧すべく、美術部たちは奔走し――!?
一方、沈黙の【三日月】ではとある計画が動き出そうとしていて……。
第十二談「トロイメライデストロイ」
一年の時を経て再び美術部の前に姿を現した【三日月】の遣いアンナ。彼女のダーツに撃ち抜かれたエリーザは大切な過去を破壊され、怪異本来の性質の通りに暴れまわる。
エリーザの暴走を止める為には、今日の彼女自身を形成するに至った過去を思い出させなくてはならなくて――。
美術部は捜していた。
エリーザ・シュトラムも、捜していた。
第十三談「月喰の影」
不穏な計画を胸に秘め、彼と彼女はそこにいた。火遠の口から遂に語られる、六十年続く因縁。その時美術部は、魔女サイドは…?
昔日の因縁、悲しみと恨み、はじまりの日。
草萼火遠は捜していた。
そして。曲月嘉乃は、探していた。
第十四談「メリー・メリー・コールミー」
快気祝いも兼ねて狩口宅の鍋パーティに誘われた眞虚は、狩口の旧友メリーさんと会う。大切ものを無くして困っていたメリーさんは、眞虚と偶々遭遇した杏虎にそれを捜すように依頼するが……。
――メリーさんは捜していた。
第十五談「新解心海リメンバー」
アンナの奇襲から花子さんを庇い、【月】のダーツを打ち込まれてしまった魔鬼。心を砕かれて意識を失った魔鬼を救う為、美術部は再び夢想の悪魔の力を借りる。
かくして心の世界へと潜り込んだ乙瓜と遊嬉は、封印されていた魔鬼の過去に触れ――。
――黒梅魔鬼は探していた。
第十六談「双月のメッセンジャー」
二か月の沈黙を経て現れた【月】の新たな刺客たちは、北中美術部に嘉乃からの勧告を叩きつける。改めての宣戦布告に、全面否定徹底抗戦の構えを見せる灯火と美術部勢。
襲いかかる二人の強敵相手に、乙瓜たちは――。
第十七談「雪山妖霊スノーデイ」
スキー合宿で隣県を訪れた美術部一行。束の間の平穏の中、合宿先では次々と不思議な現象が起こり――。
――そして物語は、【灯火】本部へ。
第十八談「ラブミー・U→I・ラプソディ」
【月】の襲撃ないまま迎えたバレンタイン。学校中の男女がそれなりに盛り上がっている中、美術部は相変わらず相変わらずな感じだった。
一方、調理室でやたら気合いの入ったチョコレートを自作していた水祢らは葵月蘰の襲撃を受け――。
――草萼水祢はさがしていた。小鳥眞虚もさがしていた。
第十九談「籠の中の虜は」
異が告げる真実、烏貝姉妹の過去、【月】の思惑と魔女の思惑。同時多発的な襲撃を受ける北中で全てが重なるとき、乙瓜は、七瓜は、美術部は――。
第二十談「机上空論エンドノート」
影の双子、七瓜と乙瓜。彼女たちの運命は大霊道を中心とする戦いの中で歪んでゆく。一堂に会する三つの勢力、現実になる予言と崩壊のはじまり。慟哭するマヤカシと世界の歪み。
彼女との思い出が消え去って行く中。
――皆が願っていた。